La Bella Patria (ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会5話感想)
8話まで放送されている状態でこの記事を書いています。遅くなってごめんなさい。
めちゃめちゃ遅れてしまいましたが、果林回までには何とか更新しよう思い、滑り込みで書きました。5話の感想です。
エマと果林の関係性が尊かった回でした!ちょっと強引な「来て」ってセリフも最高だったし、お台場デートのシーンもめっちゃ良かったです。最初は戸惑っていた感じがあった果林がだんだん表情が柔らかくなっていくところが本当に好きです。
ソロ曲のLa Bella Patriaは、エマのたくましさを感じる曲でした。「スクールアイドルになりたい!」という一心で海を越えて見知らぬ土地に一人で飛び込んでいくのは、とても勇気のいることだと思います。
叶えていくんだ これから何が起こっても
譲れないこの思い 勇気に変えてこうよ
La Bella Patria この歌声 届くように
このサビの部分めちゃめちゃ好きです。ほわほわっとしたエマの胸の中にこんな熱い情熱が秘められてるたんだと思うとグッときました。エマの持っているカッコよさも感じた曲でした。ゆったりとしたテンポの曲ばかりだったので、今回のアップテンポな曲にはいい意味でびっくりさせられました。
今回は「La bella patria」に焦点を当てて、その個人的解釈を話していきたいと思います。
朝香果林というキャラ
朝香果林はそんなキャラじゃない
クールでかっこつけて大人ぶって……それが私なの
アニメ「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第5話「今しかできないことを」
その「クールでカッコいい」という在り方は果林がずっと大切に守ってきたものなんだと思います。モデル活動をする中で確立した「朝霞果林」の姿だったのではないでしょうか。だからこそ、その枠からはみ出してしまうのを恐れているのです。
クールなキャラがモデル活動の中で「目指すべきモデル像」であるとするならば、それこそが「故郷」といえると思います。もしくはモデル活動そのものが「故郷」なのかもしれません。クールでカッコいいというイメージは今や足枷になっていますが、モデル活動を始めた時の原点であるのではないでしょうか。この原点こそが「故郷」と言うことができるのではないでしょうか。
皆で一つのことに向かって、悩んだり言い合いしたり笑ったり
くだらないと思って遠ざけて来たことが全部、楽しかった!
アニメ「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第5話「今しかできないことを」
もしくは自分を守るためのキャラだったのかもしれません。皆で夢を目指して熱くなっていたけれど、その夢の途中で悲しい出来事が起きたとも考えられます。だから熱くならないように、クールにいようとしたのではないでしょうか。
このクールなキャラがモデル活動の中で「目指すべきモデル像」として積極的に生み出されたのか、自己防衛のために消極的に作られたのかは、今の段階ではまだ分かりませんし、両方の側面を持つのかもしれません。
このあたりの詳しい話は果林の個人回でやってくれるでしょうから、今の段階では予想にすぎません。ですが悲しい出来事があったのは確かだと思います。
果林ちゃんの笑顔、久しぶりに見たよ。
私、もっと果林ちゃんに笑っててほしい!
もっともっと、果林ちゃんのこと知りたい!
アニメ「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第5話「今しかできないことを」
もっと知りたい、とのセリフから果林がエマに自分自身のことを話す機会は少なかったのではないかと推測されます。朝香果林というキャラを崩したくない、という想いから本当の自分を伝えることが出来なかったのではないでしょうか。そのことを正当化するために、自身のことを多くは語らないために「クールでカッコいい」朝香果林でいようとしたのかもしれません。この悪循環がエスカレートしていって、笑顔がきえてしまったのでしょう。親友の前でさえも自分に嘘をついて、本当の気持ちを隠そうとしていました。本当はスクールアイドルに興味があったのに、自分のキャラを崩すことを恐れて一歩を踏み出せませんでした。
しかし、モデルとして自身を表現するためにクールでいることは一定の価値はあったのだと思います。自分の好きな服、似合う服の魅力が伝わるように自分自身をストイック磨く女の子が果林さんです。栄養バランスやカロリーにも気を使い、プロポーションを維持するために努力を怠りません。その努力の中で指針となったのが「クールでカッコいい」イメージだったのではないでしょうか。つまりモデル朝香果林としての原点(=故郷)であると言えると思まいます。
たとえ苦い思い出があったとしても、自身のアイデンティティを育んでくれた場所。その故郷はかけがえのないもので、大切なものだよね。その想いを抱きしめて、勇気を出して故郷を飛び出してみようよ!私もスクールアイドルになるためにスイスから海を越えてやってきたんだよ。果林ちゃんにも出来るはずだよ。やりたいと思ったそのときから、もう始まっているんだよ。勇気を出して踏み出してみよう?大丈夫、私も一緒だから。
ちょっと拡大解釈ぎみな所もあるような気がしますが、こんなふうなメッセージも込められているんじゃないかと妄想しました。故郷をどう定義するかで色々解釈が変わってきて面白いですね。今回はちょっと変わった角度から解釈してみました。
リンドウの花
6話の前の振り返り生放送で、「La bella patriaのPVに出てくる紫の花は果林ちゃんのことを表わしているんじゃないか」ということが話題に上がっていたので、その説を補強してみようと思って色々と調べてみました。
一番印象的なのはアルプスを背景にしたこのシーンですね。
実はLa bella patriaの曲以外にも登場していました。
気づいていましたでしょうか?ホワイトボードのマグネットのお花も同じ花だと思われます。
じつはこの花、スイスの国花なのです。リンドウといって、花言葉は「あなたの悲しみに寄り添う」 いつもと様子が違う果林のことを心配し想いを馳せるこのシーンで、このマグネットのリンドウを繰り出してくるとは、アニメスタッフさん流石です……!花言葉もエマの果林に対する感情と重なりますね。
ちなみに、スイスではチャボリンドウという種類のリンドウが一般的なのだそうです。PVのようにアルプスの草地に生え、雪解け後の春から初夏に花を咲かせるそうです。雪解けの後に花が咲くというところも果林と重なるように思えます。
リンドウ属はアフリカを除く世界各地に300種ほどあり、日本には約13種が分布するそうです。*1
リンドウは日本人にとっても古くからなじみのある植物で、古典や和歌にもしばしば登場しています。最古の和歌集である万葉集にこんな歌があります。
道の辺の 尾花が下の 思ひ草
今さらさらに なにか思はん作者不詳(巻第十・2270番)
道端の尾花(ススキ)の下に生えている思い草(リンドウ)のように、私は今さら何を思い悩むことがあるでしょうか。
未練を残しながらも意地を張って強がっている様子を詠んでいるのだと私は捉えました。自分のキャラに囚われてしまい、エマにも自分にも嘘をついてしまう果林ちゃんと重なります。「今さらさらに」という所が、キャラを変えることは出来ないとしり込みしてしまう果林ちゃんっぽいように感じました。「思ひ草」って言葉の響きも風情があって好きです。
ただ、思ひ草は何を指すのか、中世以降わからなくなっていたようです。順徳天皇はツユクサ、九条兼実はシオンなど、それぞれ勝手にコレと思う秋草をあてはめていました。そのため、思ひ草=リンドウは諸説ある中の一説です。残念なことに現在では想い草は「ナンバンギセル」という植物だという説が一般的だそうです。もっと詳しく知りたい方は以下のリンクを読んでみてください。
スイス出身のエマちゃんのソロ曲を読み解くために、万葉集を調べることになるとは自分でもびっくりしてます。
今回のラストで「果林ちゃんのは私が撮るね」と言ってたので、9話はエマが果林のPVを撮るみたいですね。9話もえまかりが期待できそうです!果林ちゃんからの返歌はどういう歌なのでしょうか。今夜の放送が楽しみです!!